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ほし柿の里に伝わる郷土料理・孔雀玉子って? 料理研究家・minokamoさんが柿農家さんと「新感覚な伝統の味」を体験!

こちらの記事は、「ふっくら白い粉をまとった『山のふもとの裾模様』は丹精した証! 地区が一丸となってつくる飴色の宝石 『まるはたほし柿』づくりを体験してきた。」の関連記事です。この記事のみでもお楽しみいただけますが、はたほし柿の里について詳しくはこちらをお読みください。

秋に鮮やかな「柿すだれ」の風景が見られる柿小屋で有名な松江市畑地区。

11月、畑地区の柿小屋

全国の郷土料理や地域食の取材をフィールドワークにしている料理家のminokamoさんが、はたほし柿の里に初めて伺った時に話題にのぼった郷土料理が「孔雀玉子」。特産のほし柿で玉子をくるみ、衣をつけて揚げた料理だと言います。
話を聞くうちに、「どうやってほし柿に玉子を入れるの?」「どんな味なの?」と、どんどん興味がわいて、このたび、孔雀玉子づくりを体験する機会をいただきました。

玉子が孔雀の羽の模様のように見える

minokamoさんとともに、柿農家の森廣さんのお宅にお邪魔して、一緒に調理をさせていただきました。

左から、お母様の森廣真理子さん、minokamoさん、娘さんの森廣加奈子さん

1年を通して仕事があるほし柿づくりがひと段落するのが、年末年始。そんなほっとするひとときに、お正月のおめでたい食べ物として、畑地区では孔雀玉子を作るそう。
「毎年、年始に住職さんがうちに来られるんですが、孔雀玉子のおもてなしをいつも喜んでくださるんです」というお話も伺い、どんな味なのか、ますます興味も高まります。

ではいよいよ調理開始!

まずは、ゆで玉子の殻をむきます。

そして…長さ6~7cmはありそうな、大きなほし柿が登場! ほし柿で玉子を隙間なく包むため、玉子はSサイズ、ほし柿はかなりの大きさが必須だそうです。今回はシーズン前におじゃましたため、冷凍保存されていたものを用意していただきましたが、毎シーズン、年始の孔雀玉子用に大きなほし柿をとっておくそうです。

ほし柿ナイフで開いて種を抜き…

ゆで玉子に米粉をまぶして…

ほし柿で包みます!

「すきまなく包むのがコツよ」と教えていただき、「こんな風になるんだ!」と驚きながらも、ぎゅっと握るように玉子をほし柿で巻いていきます。

畑のほし柿はねっとりとしていて程よいやわらかさで、きれいにぴっちりと包み込むことができました。

そして天ぷらの衣につけて…油で揚げる!

丸いものを綺麗に揚げるコツは、最初にそっと干柿を揚げ油に入れること。衣がきつね色になれば出来上がり!

「さすが! うまい!」「ちょっと失敗しちゃった…!」などわいわいしていると、あっという間にカラッと揚がりました!

そして…一番の盛り上がりを見せたカットの場面。

その断面がこちら。

ほし柿の色と、白味と黄身のコントラストがなんともおめでたい見た目で、玉子のポジションも完璧! 「きれい!」「コロンとしていてかわいい!」と歓声があがります。

断面と記念撮影。この出来栄えにこの笑顔!

畑ほし柿が甘いことは知っていますが、ゆで玉子と合わさって、さらに揚げるとどうなるのか?

いよいよ…実食です!
揚げることでさらに増したほし柿の甘味と、プレーンな玉子の味が相まって、口の中でほどよい甘さに。さらに、白身のぷりっとした食感と黄身のこっくりした舌触りが天ぷらの衣とほし柿と一体になって、いままでに味わったことがない新しいスイーツのようでもあり、おつまみのようでもあり…とっても美味しい!

「日本酒にも合うのよ!」と教えていただいたのも納得。私は運転があったので、アルコールはいただけませんでしたが、minokamoさんは日本酒がすすんでいました…!「寒い中いらしたご住職を迎えするための貴重な料理、今日のためにご用意いただいたことも、気持ちも温かくなります」とまた笑顔で日本酒を口にするminokamoさん。

たくさんゆで玉子を作るなど、ばっちり準備をして、こまかなコツも教えてくださった森廣さん親子のホスピタリティと、minokamoさんの心から料理を楽しむ姿に、こちらも嬉しく、楽しくなる取材でした。

作る過程、食べるまでの過程も楽しい、特別な日にぴったりの郷土料理。もしも大きいほし柿が手に入ったらぜひ試してみて、ほし柿の里のお正月気分を味わってみてください!


***minokamoさんプロフィール***

岐阜県美濃加茂出身の料理家・写真家。岐阜で祖母と過ごした経験がきっかけで、全国に赴き、地域の食材や食文化から、現代にも馴染むレシピを考案。web連載等でレシピはもちろん、民藝の器など、日常の食卓が楽しくなる器使いの提案も。東京と岐阜(祖母が暮らした築100年ほどの家)が拠点。著書に「粉100水50でつくる、すいとん」(技術評論社)「料理旅から、ただいま」 (風土社)など。https://minokamo.info/ 


【畑ほし柿生産組合】
所在地:島根県松江市東出雲町上意東畑816番地
URL:
https://www.hatahoshigaki.jp/
インスタグラム:https://www.instagram.com/maruhatahoshigaki/
※お問合せ・イベント情報等は上記インスタグラムのDMまで

fujiko

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大阪から鳥取へ引っ越して7年目のフリーランスデザイナー、水引作家。ものを作ること、美味しいものが好き。松江には、仕事や遊びで月一くらいのペースで訪れます。

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