海士町、西ノ島で「隠岐の良さを伝えたい!」という郷土愛にふれる。【筆で島人と心を通わせる旅。路上詩人こーたさんと隠岐。後編】
今回は「松江のこしらへ」番外編として、広島のタウン情報誌「TJ Hiroshima」の特集ページ「路上詩人こーたと行く! 隠岐御島印旅」とタイアップして記事を作成しました。後編は海士町にある「後鳥羽院資料館」、「隠岐神社」、西ノ島にある「摩天崖」「通天橋」を路上詩人こーたさんが訪れ、Iターンで隠岐に移住された方との交流の様子や、地元の方の郷土愛に触れた内容をお届けします。
「路上」からいただいたご縁で自分を励まし、成長する機会に。【筆で島人と心を通わせる旅。路上詩人こーたさんと隠岐。前編】はこちら。
「ジオパーク」は地球を知る大切なメッセージ! 「隠岐自然館」で島の貴重さを学ぶ。【筆で島人と心を通わせる旅。路上詩人こーたさんと隠岐。中編】はこちら。
「ごとばんさん」後鳥羽上皇を慕い、想いを継ぐ海士町
路上詩人こーたさんは隠岐の島町を後にして海士町へフェリーで移動し、玄関口の菱浦港に到着します。
海士町は隠岐の中でも「文化の中心地」と呼ばれています。その由来は、約800年前にありました。
貴族文化から武士の世に変化する鎌倉時代の最中、倒幕運動を起こした結果、島流しに遭った「後鳥羽上皇」が、海士町にたどり着いたことから始まります。上皇はこの地に20年間住み続け、都の文化を広めました。
現地では「ごとばんさん」という愛称が付くほど島民たちに愛され、現在も後鳥羽上皇に関するイベントが開かれます。歴史上では、倒幕運動を起こすほどの権力者なので、「憎まれ役の高貴な人物」とストーリー仕立てにされることの多い後鳥羽上皇ですが、島民たちにとっては「身近な親しみやすい存在」として受け継がれています。
菱浦港から車を10分ほど走らせ、海士町中里地区にある「後鳥羽院資料館」に到着しました。
ここは、館内の資料で後鳥羽上皇の生涯について学べ、隠岐神社創建にまつわる貴重な資料も見学できます。
現地にお住まいの遠藤賢さんに、「島のさんぽみち」と呼ばれる、地元の方ならではの視点でガイドをお願いし、海士町のことを教えてもらいました。
「島のさんぽみち」は全行程約80分程度。「後鳥羽院資料館」から、「後鳥羽院史跡」「隠岐神社」まで、ガイドさんとともに徒歩で島歩きを楽しめる内容になっています。
私たちはまず、「後鳥羽院資料館」の館内を案内していただきました。
42歳で島流しされてから60歳に入滅するまで、約20年間この地で過ごした後鳥羽上皇は、海士町に来た最初の2年間でなんと600首〜700首、ほぼ毎日歌を詠んで「遠島御百首」という歌集を作られました。
都に帰れない身を嘆く悲壮感漂う心情と、島の四季のうつろいを掛け合わせ、歌に深みを持たせた完成度高い作品群です。
近年では、後鳥羽上皇が詠まれた歌を元に、かるたに仕上げた「遠島御百首かるた」があり、地元の小学生を中心に親しまれています。
「後鳥羽院資料館」を後にし、後鳥羽上皇が火葬されて遺骨の一部が埋葬されている「後鳥羽天皇御火葬塚」、上皇が滞在されたとされている「行在所跡」、上皇をご祭神として昭和14年に創建された「隠岐神社」を巡りました。
所々に上皇の歌が彫られた歌碑もあり、地域の人々によって行き届いた手入れもされていることから、高貴な人が滞在されていた当時の雰囲気がどことなく残されています。
初冬の旅だったこともあり、周りの空気もひんやりとしており、身の引き締まるような感覚のする一帯でした。
こーたさんは「島のさんぽみち」の行程を終え、「後鳥羽院資料館」に戻ると海士町から感じたインスピレーションを、筆を用いて文字に起こします。色紙には「繋」という字が書かれました。
後鳥羽上皇、「ごとばんさん」がこの地に住まわれ、文化が発達しました。
その歴史を、島民はもちろん、Iターン者の遠藤さんも共鳴され、親しみを込めてガイドし、今に受け継いでいることから、この1字を選ばれました。
西ノ島にて、荒々しい大地の躍動を感じる
旅の最後に訪れたのが西ノ島。海士町から内航船を使って約10分ほどで渡ることができます。
西ノ島の玄関口である別府港から車で20分ほど走ると、「摩天崖」と呼ばれる絶景ポイントのある、国賀海岸に到着しました。島はレンタサイクルで回ることもでき、当日自転車で訪れる観光客も見られました。
国賀海岸付近に到着すると海と切り立った崖、空、陸上の芝生しか見えず、摩天崖に向かう道のりは、頭上にある高いものが一切無いため、空が非常に近く感じます。
あたかも天空を散歩しているかのような錯覚に陥るので、高所が苦手な人は足元がすくむような気分がするかもしれません。
摩天崖下にある「通天橋」と呼ばれるスポットにも案内していただきました。昔、洞穴だった奥行き部分が崩れ落ちてアーチ状となり、巨大な岩の架け橋がかかったように見える場所です。
絶景が広がっていた摩天崖とは対照的に、古代の火山活動を思わせるような剥き出しの地層の荒々しさがとても印象的でした。
最近は西ノ島町にU・Iターンを希望する人々を積極的に受け入れる制度や、島民が憩いのスペースとして日常的に利用できるコミュニティ図書館など、新しい施設もでき始めています。
こーたさんは西ノ島町から感じたインスピレーションを「創」という文字に起こしました。国賀海岸、通天橋などまさに大地の変動で創り出された絶景を間近で見られるところであり、島民が、自然と共存しながら地元に親しみを持てる施設づくりを行っていることからこの文字を選びました。
旅の最後に、こーたさんからの一言
「最初に隠岐の島町で『ジオパーク』のガイドを受けてから海士町、西ノ島を旅したので、目の前の自然をただ感じるだけではなく、今に至るまでの自然の成り立ち、人の営みや、歴史まで想像して回ることができました。『隠岐を愛しており、訪れた人々に自分なりの言葉で魅力を伝えていきたい』今回の旅で出会った島の人々から共通して受け取ったメッセージでした。
これから隠岐を訪れる人にもぜひ、地元の人との交流を大事にしてもらいたいです。それが一番隠岐の魅力を感じてもらえるポイントだと思います。
色紙に書いて島の人に贈った『文字』は、お渡しするガイドさんに対しての『プレゼント』でもありますが、『御島印』にも同じ文字を書きました。隠岐を訪れて受け取った旅人たちが、前向きになれるきっかけにもなれれば、という意味合いも込めて『文字』を選びました」
今回、路上詩人こーたさんの隠岐旅に同行させてもらった私は、隠岐にある計り知れない大地のエネルギーや、島に住む人々の暖かさや確かな郷土愛を感じることで、この土地に確かな愛着が湧きました。
再び違うタイミングに隠岐を訪れた際に、どのような光景や人に出会えるのかワクワクする感覚がとてもあります。
ぜひ、この記事を読んだ皆さんに、実際に隠岐へ足を運んでもらいたいです。
こーたさん直筆の「御島印」を受け取りながら、隠岐の自然、文化、歴史をもっと深く知ってもらうきっかけにしてもらえればと思います。
今回路上詩人こーたさんが書いた書、「繋」「創」は、御島印※として島を訪れた方にプレゼントされます。
※御島印とは・・・
松江・境港・隠岐観光振興協議会キャンペーンとして、隠岐4島に訪れた際にキーワードと引き換えにもらえる、路上詩人こーたさんによる「御島印」をオリジナルで作成しました。内容はこーたさんが隠岐旅で湧いたインスピレーションから書いた言葉。一つずつこーたさん直筆のものを各島限定100部ずつご用意します。
画像は、海士町、海士町観光協会にてキーワードと引き換えにもらえる「御島印」です。
ー松江・境港・隠岐観光振興協議会「御島印」キャンペーンー
以下の窓口でキーワードを答えるとお一人様につき、一枚「路上詩人こーた」書き下ろしの
御島印がもらえます。
【期間】令和6年3月25日〜 ※無くなり次第終了
【配布枚数】各100枚
【設置箇所】隠岐4島下記の施設窓口にて引き換えになります。
♦︎隠岐自然館→<キーワード>隠岐自然館
♦︎海士町観光協会(キンニャモニャセンター内)→<キーワード>島のさんぽみち
♦︎西ノ島町観光協会→<キーワード>国賀海岸
♦︎知夫里島観光協会→<キーワード>赤壁
【後鳥羽院資料館】(海士町菱浦港から車で10分)
所在地:〒684-0403 島根県隠岐郡海士町海士1521−1
電話:08514-2-1470
開館時期:3/1〜11/30(冬季休業12月~2月/また、台風などによる臨時休館日あり)
営業時間:9:00〜17:00
拝観料:大人・300円、小人・150円
ホームページ:https://okiofusha.co.jp/museum
【摩天崖】(西ノ島別府港より車で25分)
所在地:〒684-0303 島根県隠岐郡西ノ島町
電話:08514-7-8888(一般社団法人 西ノ島観光協会)
ホームページ(西ノ島観光協会内):https://nkk-oki.com/japan/information/matengai/
【通天橋】(西ノ島別府港より車で20分)
所在地:〒684-0211 島根県隠岐郡西ノ島町浦郷
電話:08514-7-8888(一般社団法人 西ノ島観光協会)
ホームページ(西ノ島観光協会内):https://nkk-oki.com/japan/information/tsutenkyo/