松江に窯を開いて20年。焼き物好きが高じて生業にした陶風舎 松本尚子さん【松江で遊ぶ!大人のゆったり工芸探訪。後編】
前編「国宝 松江城近く。メキシコ料理でお腹を満たす! Green’s Babyのブリトーランチ」はこちら
中編「一通の手紙から陶芸の世界へ。美術展、伝統工芸展で受賞歴多数の雲舟窯 内田和秀さん」はこちら
雲舟窯から車で約10分。東川津町に工房をかまえる陶風舎の松本尚子さん。
出身は兵庫県、学生時代は島根県、いっときは東京で働いていたが陶芸教室に通う中、「陶芸で食べていきたい」という思いが強くなった。とのこと。
約30年前、陶芸作家になるため工芸の盛んな島根県松江市に移住。市内窯元での7年の修業をえて、「陶風舎」を開窯した。
「地元の窯元展はもちろん、県外へも勢力的に出展しています。教室も開くなどして、気がつけば今年で20年になります」と松本さん。
主婦として、母として、毎日料理をし、「こんな料理をこんな器に盛りたい!」という思いや経験から形・色・重さや質感をきめているとのこと。陶風舎の焼き物づくりの基準は暮らしを探求する「生活者視点」なのだ。
「使い勝手がよく、食卓を彩る焼き物になることを心がけています。使い手の意見にも耳を傾けヒントにして作っています」と松本さん。
「焼き物を使ってくれる人にはとにかく自由に使ってほしい」とキラキラした目で語る松本さん。
「お皿に料理を盛った写真を見せてくれるのがなによりも嬉しい」という言葉に、焼き物とそれを使う人への無垢な好奇心が溢れている。
写真はプロダクトデザイナーの協力を得てうまれた作品。新しい釉薬を使い、どんぐりの傘をモチーフにした「キャンディーポット」。
ほかにも「いっちん」という白い土でアクセントを加えた「ステッチシリーズ」が人気だ。
お店、仕事場見学なども受け入れており、不定休だが「事前に連絡をくれると対応できます」とのこと。
「足を運んできてくれたお客さまには時間があれば窯も紹介しています」という松本さん。あまり見る機会の無い窯を見せてもらえる体験ができるのも魅力的。
「とにかく焼き物が好き」シンプルで筋の通った松本さんと話す「暮らしと焼き物」の時間は工房に足を運んだ人のみ経験できるもの。
運が良ければ、窯から出したての焼き物にも出会えるかもしれない。
今回ご紹介したGreens Baby、雲舟窯、陶風舎。それぞれがこの町に根をはり、なりたいもの、やりたいことを、自分らしく表現して生きている方たち。そんな人が暮らす町をそれぞれの視点で見て味わってもらいたい。
陶風舎
住所:島根県松江市下東川津町55−8
営業:不定休
駐 車:2台
電話:090-1335-9939
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