不器用さんでも大丈夫! 「松江和紙てまり」を作ってみた
【まるで手仕事の小宇宙! 見ると心穏やかになる「松江和紙てまり」前編】
「てまり」と皆さんが聞くとどんなイメージでしょうか。晴れやかな色合いの糸かがりのものを思い浮かべる方も多いのではないのでしょうか。
松江にはその他の地域のてまりと一風変わった、和紙の風合いが繊細で柔らか、美しさにため息の出るてまりがあります。
それが「松江和紙てまり」。松江城を囲むお堀近くにある、古民家の工房を訪ね、手づくりの和紙てまり体験をさせていただきました。
工房には立派なお庭と和室。色とりどりの「松江和紙てまり」の数々が私を迎えてくれました。
見ているとてまりの中にあたかも小さな小宇宙があるかのように引き込まれます。
体験の前に「松江和紙てまり」の伝統を今に伝える活動をしている
「松江和紙てまりの会」代表の絹川令子さんにお話を伺いました。
見る人を包み込む柔らかい美しさが魅力。「松江和紙てまり」とは。
てまりの発祥は江戸時代の御殿女中と言われています。昔から慶事の贈答品や嫁入り道具に入れる風習もありました。
「松江和紙てまり」は、先代の絹川ツネノさんが熊本でてまり制作を習った経験が始まり。その後、昭和50年代に、ツネノさんの故郷松江市八雲にある出雲民藝紙の創始者、安部榮四郎さんの手漉き和紙に出会い、てまりにちぎり絵を取り入れて創作したのが始まりです。
丈夫で色鮮やかな出雲民藝紙は繊細な手仕事を可能にし、てまりの色彩の豊かさを演出しています。花のモチーフは和紙をちぎり花弁の形にする、気の遠くなるような細かい手作業で作られています。松江市の花の椿や牡丹があしらわれている作品が多いです。
色彩感の豊かさや、四季折々の気候や自然に触れる繊細さを小さなてまりに閉じ込めているので、見ていると時間がゆったりと流れ、豊かな気持ちになれます。
絹川さん:てまりは全国各地にありますが、和紙でてまりの絵柄を作るのは松江のみなんですよ。
私:こんなに繊細な作業、不器用な私ができるかどうか、、でも一度体験してみたいのですが良いでしょうか。
いざ、「松江和紙てまり」体験へ。
「松江和紙てまり」体験自体は子どもから外国人まで、予約は必要ですが間口幅広く体験できますとのこと。少し安心していざ作業にかかります。必要な材料は和紙で包まれたてまりの原形、ちぎり絵をする和紙、刺繍糸、糸を縫う針のみ。至ってシンプルです。
まず和紙で包まれたてまりの原形の真ん中にてまりの表と裏を分ける和紙を帯状に貼り、糸で縫い上げます。
次にお手本の和紙のちぎり絵を見ながら花のパーツを和紙から一つ一つちぎって糊で貼り付けていきます。私は表面に松江市の花、椿に見立てて和紙をちぎっていきます。
意外と和紙をちぎるのは難しく、きれいにちぎれません。
見本の通りにうまく形が出来ず、苦戦して糊で手がベタベタしながらも仕上げていきます。
特に一つ一つの花びらの重なり方、つぼみの配置のバランスが微妙に崩れると違う花に見えたり、てまりの円に上手く収まらない形になります。
ちぎっては貼り、微妙にバランスを整える。これを繰り返し集中して作業していると時を忘れてしまいそうです。
「片面ようやく終わった!」とひと息ついたら裏面もあることに気が付きました。
裏面は違う図案の花、水仙の絵柄を試しましたが、最初より手が慣れてきたのか、スイスイ作業できます。
約3時間弱ほどでようやく1個の和紙てまりが完成しました。
しかし、工房に飾られている作り手の技術の高さに改めて驚かされます。
後編では藍染糸を使用して縫い上げる「藍てまり」を筆者が体験します。
→不器用さんでも大丈夫! 「藍てまり」を作ってみた【まるで手仕事の小宇宙! 見ると心穏やかになる「松江和紙てまり」後編】はこちら
【松江和紙てまり工房】
所在地:島根県松江市内中原町244-4
電話:0852-33-7973
営業時間:9:00~16:00
定休日:火曜日、木曜日(希望あればオープンも可能。)
見学、体験希望の方は事前に要予約。
駐車場:2台あり
Facebook: https://www.facebook.com/松江和紙てまり-105559011181699/