楽しさ天下一! お城と松江を愛する「まつえ時代案内人」がおもてなし。
「最強の城!松江城郭ガイドツアー」。

ひと

言わずと知れた松江の観光名所、松江城。ただお城を巡るだけではなく、戦国時代からタイムスリップした武者や忍びの者に扮する、通称「まつえ時代案内人」という方々が松江城を案内してくださるツアーがあるのをご存知でしょうか。「最強の城!松江城郭ガイドツアー」と言います。

しかも、普通のガイドツアーではありません。全コース90分ほどで松江城を攻める毛利勢目線、守る堀尾勢目線で案内が繰り広げられ、築城から現代までの約410年の流れを知るという、盛り沢山の内容を楽しめるのです。

私も、天守まで登ったことはあるのですが、「まつえ時代案内人」に案内されるとどれほど感覚が違うのだろう、と興味があり参加してみました。
ツアーに参加してみると、お城の楽しみ方が180度変わります。戦国の世の臨場感を味わえ、時にはユニークなジョークも交えて説明してくださり、とても楽しい時間を過ごせました。

堀尾吉晴公銅像前の入り口でツアー開始です。あら、このお方は? さっき銅像で同じ顔を見たような…

「松江開府の祖、堀尾吉晴公が自ら城のご案内! いざ、戦国の世にタイムスリップ。」

「最強の城!松江城郭ガイドツアー」に参加した当日は、約410年の眠りから覚めた、松江開府の祖、堀尾吉晴公がご案内してくださいました。

あいにく当日は肌寒く雨模様。天守閣の姿が煙り石垣が濡れて、山陰ならではの情緒が辺りに漂います。
ツアー参加者は堀川遊覧船の船着場近く、時間になったら城門の入り口に集合します。
この日、集まったのは私を含めて4人。県外の方もいらっしゃり、普通にお城を回るだけでは楽しめないから、こちらに参加されたそうです。
堀尾吉晴公に先導され、まず、「馬溜(うまだまり)」と呼ばれている下の写真の場所からガイドがはじまります。そして、石垣が直近に見える階段を登って、二の丸御殿跡の方に行きます。

こちらが馬溜。石垣の上の塀から狭間(さま)という、矢や鉄砲で攻撃する小窓がのぞいています。

下の写真は、馬溜の上に建つ太鼓櫓付近の狭間から見たものです。馬溜は良く見おろせ、毛利勢が馬溜に入ると、堀尾勢の総攻撃が上から降り注ぐような作りになっています。

塀の上の狭間から見た、城門の入り口。ここから敵を鉄砲か矢で狙い撃ちます。
お城の石垣には、当時の権力者の象徴である刻印が刻まれています。歴史のロマンがあふれますね。

入り口の高い城壁の他にも、ツアーの道中、至るところに堀尾勢の徹底した守りの跡が見え、見どころ満載です。

二の丸御殿跡の井戸。兵糧攻めに会うのを防ぐために掘られたそうです。
二ノ門跡の階段を登り、いよいよ天守に向かいます。階段の高さ、幅がちぐはぐになっているのは敵の列を乱すためだそうです。

当主の堀尾さんが、普段見過ごしてしまいそうなところも、攻めの視点、守りの視点でじっくりとガイドしてくださいます。見所は天守の周りだけでも豊富なのです。

また、ガイドの最中にお話ししてくださるのはお城の見どころだけではありません。堀尾吉晴公の武勇伝、築城が無事に終わるように若い娘の人柱が立てられた怪談話など、歴史のロマンやイメージを膨らませるお話もしてくださいます。また時々、参加者側が隙のある姿で立っていると「ここで毛利側に撃たれてしまうぞ」と脅される演出もされるのでユーモアたっぷりです。
そして、ついに天守に着きました。中に入ってからも見どころを余すことなく説明してくださいます。

天守に着くと、上方が煙っておりムード満載です。人柱が立てられたエピソードもまんざらでは無い佇まい。
天守の向かい側にある館で殿の従者に会いました。見た目は恐いですが、話かけると優しいです。
いよいよ天守の中に向かいます。堀尾吉晴公が先立って入城します。
松江城は築城の際に木材不足でした。心柱が手に入らず、2階分の短い通し柱を配置して天守を支える特殊な構造となっています。
天守は5階建です。木製の急な階段を上がると…見晴らしの良い天守の最上階に着きます。
天守の最上階にて。お城より高い建物が少ないのでとても見晴らしが良いです。当時は敵の様子を遠くからも見渡していました。

天守を出た後はお堀の裏側まで行き、最後にお城の周りをぐるりと回って元の城門の入り口「馬溜」に戻り、ツアーは終了します。
終わる頃には、参加者同士も仲良くなり、中には、堀尾吉晴公とツーショットをするお客様もいるほど、案内人との距離も近くなります。

ガイド中、お子様に会うとシールをプレゼント。細やかなおもてなしを感じさせます。

「戦国の世に築城され、現存するまでいくつもの試練を乗り越えた松江城。」

松江城は黒と白のコントラストが美しい堅牢なお城です。本番の戦には使用されませんでしたが、今もこの美しい佇まいの天守が現存しているのは、壊される危機を何度もくぐり抜けてきているからです。

明治時代にお城が売却され処分されそうになったり、維持費の問題や、近代の戦争など様々な厳しい局面を越えてきました。その背景には、天守を残そうと多くの地元の人々の尽力がありました。
普段、何気なく見ていたお城が、世代を越えた人たちの想いによって守られてきた背景を知ると、松江の街のシンボルとして尚更愛しく感じますね。
そして、貴重な松江城の魅力をもっと多くの人に知ってもらいたい、という地元の人たちの有志で発足されたのが「まつえ時代案内人」によるガイドツアーなのです。

「ユニークに松江城をガイドする、『まつえ時代案内人』の存在に迫る。」

次に、「まつえ時代案内人」にはどういった方が携わっているのか知りたくなり、「まつえ時代案内人」の武者名「楠 馬之介」として活躍されている、市の観光振興課に所属されている小玉さんにお話を伺いました。

馬之介さんの衣装はなんと自前だそうです。

なぜこのようなユニークなガイドを始めたかというと、2015年に松江城が国宝に再び指定された時に、他のお城には無い独自性を持ったガイドがしたい、という発想がきっかけだったそうです。
武者や忍びの者の格好をした案内人は、松江城にひときわ想いの強い方々が集まって毎週末の土曜日に交代でガイドをしています。
「まつえ時代案内人」になるには認定が必要です。お城についての歴史、建築などのあらゆる座学やお客様へのおもてなし練習、甲冑の着付けもこなし、晴れて「まつえ時代案内人」として活動できる仕組みになっています。
小玉さん曰く、お城の知識の習得やガイドの練習など、普段の仕事の他に行うので、日々の努力は欠かせないことですが、自分がガイドすることでお客様に喜んでもらった瞬間はかけがえのないものだそうです。

今年4月8日には、堀尾吉晴公とその一行が松江城に入城する様子を再現した「松江武者行列」という、松江中心部の街の道路を使用して行う一大イベントが開催されました。
コロナ前には例年行われていたイベントですが、今年ようやく再開されました。
この行列には、一般市民も公募で参加できるようになっています。参加者になった方が、歴史のロマンを感じさせる雰囲気や、文化を守りたい思いに共感して「まつえ時代案内人」になった方も多いそうです。

今年の松江武者行列の様子。街中を武者や姫が練り歩き、盛大に行われました。(撮影 西尾優一)

「まつえ時代案内人」は今、11名おり、皆、得意分野や個性があるので案内の仕方が違うそうです。他の10人のガイドも気になりますね。それぞれコミカルにわかりやすくガイドしてくださいます。

あなたも松江城に来られた際には、一風変わったユニークなお城案内、「まつえ時代案内人」による「最強の城!松江城郭ツアー」を体験してみてはいかがでしょうか。お城の見方が変わるのはもちろん、案内人と、参加者との一期一会の楽しいひとときが味わえるのも、このツアーの魅力です。

「そなたもわしと一緒に城を回られたらいかがかな」と堀尾吉晴公。

【「まつえ時代案内人」最強の城! 松江城郭ガイドツアー】
開催地:松江城(島根県松江市殿町1−5)
催行日:毎週土曜日
出発時間:10:00~/13:30~ 1日2回
所要時間:約1時間30分
集合場所:国宝松江城大手前「堀尾吉晴公銅像前」
コース:[ 出発 ]堀尾吉晴公銅像前→枡形虎口→二の丸御殿跡→国宝松江城天守→解散本丸
その他・注意事項:小中学生 800円、未就学児 無料。
         1名から催行可能。先着15名様まで。
お問合せ:(一社)松江観光協会 武者ガイド担当〔8時30分~17時〕 TEL.0852-27-5843
     ※お電話でのご予約は承っておりません。
参加料:お一人様1,600円(ガイド料・松江城登閣料含む)
駐車場:松江城近くの有料駐車場(大手前駐車場、城山西駐車場)か、
    無料のおもてなし駐車場、(県庁、松江市役所)をご利用ください。
ご予約は松江観光協会ホームページより:https://www.kankou-matsue.jp/machiaruki/course
まつえ時代案内人URL:https://matsue-musya.com/

カワモト タマコ

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東京都出身。「島根県の工芸、技術を次の世にも伝えていきたい!」と一念発起し、グラフィックデザイナーから松江市協力隊の松江工芸の魅力を伝える仕事に飛び込む。出...

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